20241012
Midnight in San Juan
Earl Klugh / Midnight in San Juan
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ビジュアルコミュニケーションの世界は、メディアのデジタル化にともなう多様な変化の中にあります。 ビジュアルコミュニケーションに対するデザインからのアプローチにおいては、視覚情報を伝達するという機能をふまえて、多岐にわたるメディアのそれぞれの特性に応じた表現を構築する必要があります。そのような状況にあっても、デザインを成立させるための「考えること(HEAD)」と「感じること(HEART)」は一貫して重要なファクターであるといえます。そして生み出されたデザイン媒体は、クライアントやデザイナーの手から、社会という第三者(HE)へ渡り、広告表現(AD)であると同時に芸術表現(ART)として価値あるものでなければならないと考えます。 HEAD+HEART=HE(AD+ART)というキーワードの数式には、そうした思いが込められています。 わたし自身のデザイン領域も、グラフィックデザインを中心に、平面から立体へ、印刷媒体からメディアデザインへと、コンピュータ機器を介してデジタルの世界で拡張してきましたが、1989年04月のスタジオ設立に際して掲げた「HEAD+HEART」のコンセプトは常に制作の原点に置いて、ビジュアルコミュニケーションデザインの実務と教育に取り組んでいます。 1998年11月01日 ビジュアルコミュニケーションデザインの本質は、さまざまな社会要素の関係を調整し、他者に対して利益を図る新たな提案の視覚化にあります。それは、仏教の教えにある「自己の善行の功徳によって他者を救済すること」である「利他」にたとえることができるでしょう。デザイナー自身が、社会のあらゆる動向に目を向け、深く論理的に考えつつ、自分自身のそして他者の情動を感じ取ることにも敏感であること、そして真摯に「かたち」や「しくみ」の具体化に取り組むことが、社会にとって有益なデザイン表現へとつながるのです。 デザインワークのプロセスが、コンピュータ機器とアプリケーションソフトウェアによって広く一般に解放されたことにより、今後、ビジュアルコミュニケーションデザインの考え方や表現技術は、社会生活を送るうえで欠くことのできないものとなるでしょう。だれもが自分の思考や感性を可視化する表現者として存在することが求められるのです。 その時、単に見た目のことを指すのではなく、社会性を伴ったビジュアルコミュニケーションデザインを浸透させるためにも、デザインという専門職に携わるわたしたちは、常に「利他」を意識し、それを具現化させていく必要があると考えています。 そうした思いを込めた造語が「リタ(利他)デザイン」であり、デザインの実務と教育に携わって15年が経過した現在、これを活動の新たなポリシーとして、その責任を再認識するとともにさらなる可能性を探求していきます。 2006年03月01日 |
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大阪電気通信大学 総合情報学部 ゲーム&メディア学科 教授 グラフィックデザインを学んでいた学生時代に、アルバイトとして印刷会社でデザインの実務に携わり、その経験をもとに、1989年にヘッドプラスハート ビジュアルコミュニケーションデザインスタジオを立ち上げました。 スタジオでのデザイン設計業務と並行して、修了と同時に大学研究室にアシスタントとして勤務する機会を得て、デザイン教育の一端にも携わるようになりました。 当時、研究室にあったMacintoshに触れたことが起点となり、コンピュータを利用したデザイン設計の世界に、研究・教育の立場から関わってきました。 いくつかの芸術系大学に講師としての出講を経て、2003年、日本で初めてとなるユニークな学際領域を対象としたデジタルゲーム学科の新設を機に、本務校である大阪電気通信大学に着任し、現在に至っています。 |
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インデックス
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