Digital Editing

● 授業テーマ
● DTPのプロセスと起源
● DTPの波及と電子出版
● DTPのフローチャート
● 演習:雑誌の解剖
● 課題:自分特集

京都造形芸術大学 通信教育部・情報デザインコース[スクーリング科目]

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● DTPの波及と電子出版

 着想、発案、企画、情報収集、デザイン、レイアウト編集作業、印刷(ダミー)、まで一人で出版を通じた情報発信のシミュレートが可能となり、各工程における役割りの理解、総合的なデザイン設計とディレクションに、深い思考と造形センスを反映させることのできる可能性が開けた。

 紙媒体へのプリントアウトや、印刷を前提としたフィルム出力の他に、写真原版となるフィルム出力、デジタル映像出力、CD-ROMなどの高密度記録媒体への記録、インターネットなどの広域情報ネットワークへの情報発信、インスタレーションなどの空間構築への展開など、呈示形態が多様化し、コミュニケーションの機会が増大した。

 ネットワーク環境で大衆化、領域横断化する現代の造形芸術やデザインの方向を見定め、プロデュースし、統括するような高次の創造的管理技術=メディア・アート・マネージメントの能力を有することが必要となる。

 コンピュータシステムや情報処理システムの知識、技術を単に獲得することではなく、人間を含めた組織体の活動に深く関わる知識、技術の獲得であり、生活環境に関わるさまざまな問題を発見し、それを組織、社会、あるいは個人を含め、手に入れやすく、有効な形として問題解決の方法を提案することが肝要。

電子出版―新聞・雑誌などで頻出している言葉だが、その意味するところは記事の文脈によって多様を極めている実情がある。ここでは大きく三つに分けて捉えることから始めたい。

1 出版物づくりのプロセスをデジタル化したものを電子出版と呼ぶ場合。
従来の出版物作成をコンピュータで「楽に」「低コストで」行うDTPが相当する。
2 出版物の中身(コンテンツ)を電子化して出版したもの。
事典や古典をCD-ROMとして出版する電子本、エキスパンドブックなどが相当する。
3 本から離れていく出版物
ホームページ、オンライン雑誌、など発行者がネットワークの機能を用いて多数の人々に同時に情報発信するもの。CCメールもこの範疇にあると考えられる。

 デジタルコンテンツを注文に応じて印刷するオンデマンド出版も始まっている。出版社の抱える在庫は財産とみなされ、課税されるが、電子データには税金がかからない。

 ネット上には、著作者の死後50年以上を経て著作権が消滅した作品と、著作権者が公開に同意した作品を収録した青空文庫(パプリックドメイン文庫)がある。(無料サイト)

エキスパンドブック
 1992年に米ボイジャー社がカード単位で情報を扱うマッキントッシュの「ハイパーカード」を応用して開発。ボイジャー・ジャパン社が「めくる本」という機能に絞り込み、日本語の縦組みにも対応し、映像や音声を簡単に取りこめる「エキスパンドブック・ツールキットII」を独自に開発、95年に発売。「ディレクター」とは一線を画し、「本」にこだわったソフト。「本」は、フロッピー、MO、CD-ROM、などのメディアやネットワークによって配本される。
 エキスパンドブック・ファイルの作成に必要なオーサリングソフトウェアは、「エキスパンドブックMacintosh v1.6」「エキスパンドブック Windows v1.6」が最新バージョン。

ネットエキスパンドブック
 ネットエキスパンドブックとは、インターネットを起点として始まる新しい読書環境。アメリカ生まれのインターネットには、今のところ残念ながら日本語の長い文章を読むための配慮がなく、今後もしばらくの間は縦書きなど日本語の特殊な文字組に対して考慮されることはないと予測できる。そこで、ボイジャー・ジャパン社は、エキスパンドブックの特徴をインターネット環境のなかで活用することを考えた。
 エキスパンドブックを使えばホームページ上では表現できない、縦書きやルビつきの美しい文字表示で、長文の日本語を読むのに適した環境をWebの世界に付加することができる。また、ブック上の語句(色付きの文字)をクリックすると、その語句の注釈として、インターネット上のホームページにリンクすることも可能である。つまり、ホームページからブックへ、ブックからホームページへ、という双方向のリンク関係が成立するのである。
 一度表示したブックは、自動的にダウンロード保存されるので、インターネットの接続を切ったあとでも、単独に読むことができる。

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