20171109

情報デザイン演習

大阪電気通信大学 大学院 総合情報学研究科 ビジュアルデザイン特論

情報[世界]を見る・考えるデザイン演習

第07週:11月16日

1)演習3[画像イメージと意味]1 ロラン・バルト「写真のメッセージ」から

■ ことば→画像イメージ→言語化

ことばがもつ明示的な意味を画像イメージとして表し、また、画像イメージからそれが表す潜在的な意味内容を言語化する。

ことばが表すものを周囲の観察から見つけ出し、画像イメージが表す内容を言語化するプロセスをトレーニングする。演習を通して、ことばがそして画像イメージがもつ意味作用について考察する。

演習ではまず、ことばが表す・意味する風景、できごと、ものなどを写真として切り取り、収集する。「出る」を例にすると、「太陽が昇る」「月が出る」「顔が出る」「おなかが出たタヌキ」「突き出た窓」「巣立った後の巣」など。それらの写真と「出る」ということばがセットとなって、ひとつのある意味内容を表す。

クラス全体では、ことばと写真の集合のセットがいくつもできる。次にそれらの写真を元のことばとの関連から断ち切り、もとのことばとは別の何らかの関係性をもつ4枚の写真をピックアップして組写真とし、それが表現するものを言語化する。関係性を発見する視点の一例として、共通性、対比性、連続性、因果的要因などがあろう。そして、組写真にタイトルをつけ、そのテーマに関する文章(小説、随筆、説明文)を書く。

■ 演習に関連する知識

本演習は、ことばのもつ意味内容を写真を使って視覚化し、次にその画像イメージが潜在的にもつ意味内容を言語化する演習である。

言葉や写真などの記号表現とその働きについて、理論化の試みが20世紀以降、言語学者フェルデナン・ド・ソシュールと哲学者チャールズ・サンダース・パースの二人の研究を出発点に行われている。「記号論」全体を概観することは、ここでの演習に関わる知識の範囲を超えるが、ひとり、フランスの思想家ロラン・バルトの考えを紹介しておこう。バルトはソシュールの考えを踏まえ、言語を含めた写真やポスターなどのもつ意味作用について考察した。

バルトは写真のメッセージについて、次のような考えを展開している[ロラン・バルト, 写真のメッセージ, 1961 (第三の意味映像と演劇と音楽と, みすず書房, pp1,1984)]。

写真は現実を類似的に再現する。写真に写された事物や風景などは、対象の類似的な内容そのもので、対象が指示する明示的な意味(denotation:外示)である。これを外示されたメッセージと呼ぶ。写真はそれと同時に、写真を見た人が読み解く潜在的な意味(connotation:共示)をもつ。これを共示されたメッセージと呼ぶ。新聞紙面の写真は外示されたメッセージが基本的な意味であるが、それを見る者によって共示的なメッセージを含む可能性もある。

ソシュールは言語記号を2つの要素をもったものとして定義した。

・シニフィアン(意味するもの、記号表現)… 記号がとる形 ex. "open"ということば。o/p/e/nという記号表現から構成されている。

・シニフィエ(意味されるもの、記号内容)… それが表す概念 ex. 店の戸口でそれを見た人は「店は営業中」という意味概念をその言葉に与える。

これを踏まえ、バルトは写真の外示的メッセージと共示的メッセージを次のように図式化している[ロラン・バルト, 今日における神話, 1956 (神話作用 現代思想社, pp148, 1967)]。

[1. 意味するもの]と[2. 意味されるもの]が一体となり、[3. 意味表象]を伝達する。これが外示的なメッセージ(意味)である。バルトはこれを「形式と呼ぶことにする」と言っている。

[3.意味表象]は、共示的な意味体系において、新たに[I. 意味するもの]となり、それが表す概念[II. 意味されるもの]と一体となって[III. 意味表象]を伝達する。これが共示的なメッセージ(意味)である。

1. 意味するもの

2. 意味されるもの

3. 意味表象
I. 意味するもの


II. 意味されるもの

III. 意味表象

例として、バルトは写真週刊誌Paris-Matchの表紙の写真を挙げて、この構造を説明している。

[1. 意味するもの]は「フランス軍服を着た若い」黒人が「まなじりをあげて敬礼している」写真である。「ひるがえる三色旗に注目」し、国旗に忠誠をもって「仕える」というのが、写真の外示的意味である

写真はその外示的な意味に加え、その写真が撮られた時、あるいは写真を見る時の社会的、政治的、文化的背景の中で、共示的意味をもつ。共示意味は、写真の読み手の知識や情緒的傾向にも依存する。

右の写真では、[3. 意味表象]である「フランス軍礼をする黒人兵士」は拡大された意味体系の中で、同時に「I. 意味するもの」となる。フランスがそのアフリカの国を植民地支配しており、植民地主義に対して批判があるという社会的状況(意味体系)のなかで、その写真は「いわゆる圧制者に奉仕するこの黒人の熱意」を示し、批判に対しての「返事」となる。このようにして共示的メッセージである[III. 意味表象]が出現する。

写真週刊誌Paris-Match

■ 画像データの整理と投稿

選択したことばの意味を表現する写真をできるだけ多く(10枚以上)撮影すること。ことばは下記の例の中から選択する、あるいは日本語の動詞から自分で選んでもよい。

ことばの例:出る 消える 逸れる 当たる 繋ぐ 外れる 壊れる 直る 膨らむ 萎む 伸びる 流れる 上がる 下がる 降りる 通る

まず、ことばのもつ意味を考える。例えば「出る」には次のようなさまざまな意味が含まれる。

現われる、飛び出る、体現する、出てくる、這い出る、去る、出かける、出発する、逃げる、後にする、源、原因、留守など。それらを念頭に写真を撮影する。

【例1】並ぶ

並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ

【例2】繋ぐ

並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ 並ぶ

撮影した中から画像データ10点を選択し、以下の仕様に整える。

 ピクセル数

     幅:600 pixel

    高さ:400 pixel

 ドキュメントサイズ

   解像度:72 pixel/inch

 フォーマット

   JPEG(高画質・低圧縮)もしくはPNG

整えた画像データは、Facebookページ[情報デザイン演習 渡部隆志]にアクセスして投稿すること。

Facebookへの投稿

近況を投稿する の欄に、

 学生番号 氏名

 選択したことば

 特に画像の説明が必要な場合は記載すること

を入力する。

3)出席カウントのためのメール送信

メール送信のページから、出席カウントのためのメール送信をおこなう。

名前欄には、学生番号(半角英数)・氏名を入力すること。

メールアドレスは入力の必要なし。

メッセージ欄に記載するテーマを指示するので、その指示に沿って入力をおこなうこと。

インデックス担当授業の資料情報デザイン演習

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